『クロゴケグモの星に生まれた女——』
まだティーンだった頃、あるシスターが私を見下ろしてこう告げた。
『”私を離さないで”』
『お前がそう願った相手は、誰であろうと同じ言葉をそのままお前に返してくれる』
『”どうか 離さないで”』
『そして、それから間も無く死ぬ』
……事実、私が愛したひとは必ず私を愛し返してくれた。そして死んだ。
こちらが手を離さなくても勝手に向こうから手を離す。
望むと望まざるとにかかわらず、私の愛に応えたひとは私の愛に殺される。
そんな女の運命を、あの『魔女』は見抜いていたのね。
クロゴケグモ。
交尾の後に雄を喰い殺す雌の蜘蛛。
それが私の運命なら……それならば……
「……それなら、そうよ。愛し愛されない相手と結婚してしまえばいい」
「例えば……亡くなった幼馴染みを想い続ける男なら、私の事を憎みこそすれ本気で『離さないで』なんて言わないでしょう」
「あなたと一緒なら、私はもう誰も殺さなくていい」
「そう……思っていたのよ」
「思って『いた』?」
「……ごめんなさい、シオン」
「私、あなたを愛してる……伴侶としてよりも、アロエの父親として」
「愛し合う家族としての『幸せ』を——あの子がそれを私たちに求めるならば、」
「私はその姿を『演じてしまう』……私はそういう女なの」
――此処は、僕の故郷だ。
マドレ・コセチャは絶えず穏やかな笑みを浮かべて広場に佇み、
あの懐かしい酒場は昼間から飲んで踊る人々で賑わいを見せ、
屋台の親父が息子に代替わりしていて、
そして誰も僕の存在に気付かない。
目の前にいる僕の事を、見た目の変わった同郷の仲間だと気付かないのか——
いや、
僕は、死んだのか……?
「”ローデント熱”……と今の時代は呼ぶそうだな」
「昔から在る流行り病だ……愚かにも、小さき者への怖れを忘れた傲慢なる者よ」
「お前のようなシムを私は見てきた。何年も、何百年も……」
「……あなたは?」
「お前の魂を葬る者」
「葬る……?」
「既にこの手で葬った『一人目』『三人目』と同じように、」
「お前の魂がこの世にあっては、私のクロゴケグモが宿命を果たさなくなる」
「さようなら、『四人目』」












































