2019/10/04

ハッピーエンドの呪文を -前編-

「そして彼らは 愛する人と いつまでも幸せに暮らしました」



私の家族がそうならないのは、
私が『良い子』ではないからだ。



亡き母の面影を私に重ねたお父さんと同じように
亡き人を想い続けるマグダレーナさんと同じように

私も、また――



亡き母のまぼろしを、この家で見続けている。



だけど、それでも、
たとえ夫婦が愛し合っていなくても、



マグダレーナさんは『お母さん』になろうと一生懸命になれるひとで、
お父さんは『お父さん』になるために故郷を捨てたようなひとだから、



みんなが、ちゃんと、
「愛する人といつまでも幸せに」暮らせるようになるべきなんだ。



私はたぶん『良い子』ではないから
心がけの足りない女の子は、シンデレラにはなれないでしょう?



だから、代わりに魔法使いの役をください。
私の『家族』をハッピーエンドにするために、どんな呪文を唱えたらいいの?

先生――










「んん……おかあさん、」



「…………『お母さん』て」






「うるさい、分裂して喋るなグレース」






















© simensoka
Maira Gall