「ああ……」
「落雷? いや、あの夜にそんな音がした覚えは無いが……」
「よく晴れた満月の夜だったからな」
「しかし、彼女の死因は感電死らしいって話だろ?」
「屋根の上でか? そりゃあ奇妙な事もあるもんだ」
「あのガキはどうなるんだ?」
「たった一人の母親が死んで、コテージの女将をやってた婆さんも、とっくに……」
「気の毒だが……身寄りがいないんじゃあ、施設送りか、どこか別の……」
「! しっ、おい!」
「あ……、お、お嬢ちゃん、」
「おかあさん、いますか……?」
「お母さんは此処にはいないよ」
「あ……」
「お母さんはいない。そう言っただろう?」
「おかあさ、」
「『お父さん』だ」
「お……おい、サイモン、」
「僕が『お父さん』だ。この子は僕が引き取る」
「はあ!?」
「近いうちに二人でこの村を出るよ。此処にいるのはこの子のために良くないから」
「おかあさ、」
「『お父さん』だ。こんな時間に一人で酒場へ来るんじゃあない」「帰ろう。僕らの家へ」
「…………うん、おとうさん」
「ダニエラ」
『お父さん』が囁いたその名前は、私ではなく母のものだった





















