2019/09/28

『父』と『娘』

「コテージの屋根の上で倒れていた?」







「ああ……」
「落雷? いや、あの夜にそんな音がした覚えは無いが……」
「よく晴れた満月の夜だったからな」



「しかし、彼女の死因は感電死らしいって話だろ?」
「屋根の上でか? そりゃあ奇妙な事もあるもんだ」



「あのガキはどうなるんだ?」



「たった一人の母親が死んで、コテージの女将をやってた婆さんも、とっくに……」



「気の毒だが……身寄りがいないんじゃあ、施設送りか、どこか別の……」



「! しっ、おい!」
「あ……、お、お嬢ちゃん、」



「おかあさん、いますか……?」






「お母さんは此処にはいないよ」
「あ……」



「お母さんはいない。そう言っただろう?」
「おかあさ、」
「『お父さん』だ」



「お……おい、サイモン、」
「僕が『お父さん』だ。この子は僕が引き取る」
「はあ!?」



「近いうちに二人でこの村を出るよ。此処にいるのはこの子のために良くないから」



「おかあさ、」
「『お父さん』だ。こんな時間に一人で酒場へ来るんじゃあない」



「帰ろう。僕らの家へ」



「…………うん、おとうさん」










「ダニエラ」










『お父さん』が囁いたその名前は、私ではなく母のものだった







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Maira Gall