2019/03/01

ヴァトーレ家の秘密

「過去ログ」タグがついている記事は、2018年6月から12月まで前ブログ(tumblr)で書いていた記事の転載です。
2018年7月14日初出




雪は解けれども陰気な雲が陽光を阻み、星降る闇には花も咲かない。
そんな吸血鬼の隠れ里にも春が来る。

Forgotten Hollowの一角には、シムズ4界きっての美形兄妹が暮らす屋敷があります。



兄妹? 姉弟? 公式では定かになっていないのでしょうか。
なんとなくですが「優しい兄・気の強い妹」の関係に萌えるので、自分の中ではヴァトーレ兄妹と呼ぶことにしています。
姉弟設定で観察しておられる他所様のブログもよく見るので、公式は逆なのかもしれない。
まぁどっちでも美味しい。


<以下読まなくてもいいヴァトーレ語り>

Vampires発売前後に出たteaserとtrailerではそれぞれがヴァンパイア化した瞬間のシーンが見られます。

リリスさんがあのお方にガブッとされてヴァンパイアになったのが先だとしたら、カレブさんが後を追ってForgotton Hollowに来たのかなとか、あのお方との不仲設定はそのへんの経緯が関係あるのかなとか、妹と暮らすために永遠の命を選んだお兄ちゃん尊くない?とか、ヴァンパイア化前のリリスちゃんかわえかわえとか、カレブさんの性的嗜好が判明とか、想像力を掻き立てられてこれがなかなか素晴らしい。
公式が最大手だしヴァトーレ家は沼だというのはシムズ4におけるデフォシム界隈でも有名な話です。
少し前にSimsVIP様でファンアートも特集されてましたね。その節はご馳走様でした。

ついでに言うと、ヴラドさんほかMaxis産ヴァンパイア勢の中でも、この二人はそこまで高齢ではないのでは?とも思っています。
trailerに出てくる人間時代のリリスさんが現代風のファッションだった点と、シムのブラッドを無理やり飲まないカレブさんの主義にも見受けられる「ヴァンパイアの伝統に反する」現代人寄りの価値観から、せいぜい実年齢はリアルに換算して2桁であろうと推測します。

<以上>




……という願望入り乱れた考察は置いておいて(たぶん公式はそこまで考えてないやつ)。


足取りも軽やかに、この家の主人たるカレブ・ヴァトーレが玄関のドアをくぐる姿を、飼い猫のメリーベルが軒下から眺めていました。
今回はちょっとだけオリキャラの絡む物語風に。





「帰ったよ」
「……遅かったのね」





「ヒナギク堂へ寄っていたんだ。これはお土産。フルーツパイも買ってきたけど、リリスは食べないだろ?」



リリスはヴァンパイアの弱点により、シムの食べ物を受け付けない体になることを自分の意思で選んでいます。
美食家のカレブはそれを拒み、代わりに選んだ弱点が、シムのブラッドを無理やり奪うことに耐えられなくなるというもの。

「カレブは人間性を捨てることに躊躇があるの」とリリスは言います。

カレブは昔からそういうところがあって、きっとこれからも永遠にそうなのだろう……と、これはリリスの、心の内の願望です。



「そんなことより、」

今、リリスが気にしているのは、兄が密会していた相手のことでした。



「『密会』とは聞き捨てならないな。友人の経営する店に顔を出してきただけだよ」
「そうね。カレブにとってはとても大切な『友人』のお店の周りに、怪しい黒服がうろついていないか見張っていたのよね。昼の三時から夜中までずっと」
「なんだか含みのある言い方だ」
「それで、……キッカさんは安全なの?」



目ざといリリスはカレブの気持ちを知っています。

宿敵であるバローネ卿が追い求めている女とその息子のために、カレブ自ら逃亡先を手配していることは兄妹だけの秘密です。
同族のヴァンパイア達にも、ましてやバローネの息がかかった者達にも、母子の居所を知られることが決してないように。



四年ほど前まで、母子は都会の下町でアパート暮らしをしていました。

彼女が母となるより前、バローネ卿と婚約していた当時、カレブは彼女のことを、狂人に見初められた哀れな女だと思っていました。

やがて身重の体で失踪したと聞かされた彼女が、安アパートで子供を産み育てていることを偶然知った後、当のバローネ卿の前で沈黙を貫いていたのは、バローネという家と、彼という男に対する猜疑心があったためです。



母子に特別な感情を抱いてのことではなかった……少なくともその時点では。

© simensoka
Maira Gall